• 第11回日本医薬品安全性学会学術大会

発表規定・要項

発表規定・要項 PDF版

2016.7.24改正

1.研究発表の内容

発表内容は,本大会の目的の趣旨に準じ,未発表,未投稿および未応募であるものに限る.採用通知後にこの条件がみたされていないことが判明した場合は,採用を取り消すことがある.発表内容のテーマは下記に区分する.

① 症例検討Ⅰ(有害事例)
② 症例検討Ⅱ(回避事例)
③ 発症機序
④ 有害症状
⑤ 原因薬・誘発要因
⑥ 原因薬検出
⑦ 回避方法
⑧ 安全対策・管理
⑨ 疫学調査
⑩ 情報提供
⑪ 基礎研究
⑫ その他

2.研究発表者の会員資格

研究発表者は原則として本会会員とする.共同発表の場合は,筆頭発表者が会員であれば応募できる.ただし,大会の会長が招待講演等により認める場合にはこの限りでない.

3.研究発表の採否

研究発表の採否は大会運営委員会が決定する.

4.研究発表内容の責任

研究発表の内容についての責任は発表者が負うものとする.研究発表および討論に付随して生じるいかなる問題についても本会は責任を有しない.

5.著作権

大会において発表された要旨集,電子情報等の著作権は本学会に帰属する.

6.研究発表の取り止め

研究発表取り止めを希望する場合は,原則として書面に理由を記述して大会運営委会に申し出る.

7.発表における注意事項

7-1 研究発表に関する基本倫理について

ヒトを対象とした研究では,ヘルシンキ宣言の科学的および倫理的規範に準じていなければならない.被験者には研究内容についてあらかじめ十分に説明し,自由意思に基づく同意(Informed Consent)を文書で得ることが必要であり,研究課題によっては,所属施設の倫理委員会またはこれに準じるものの承認が必要である.動物を対象とした研究では,動物愛護の立場から適切な実験計画を立て,全実験期間を通じて飼養および保管に配慮することが必要である.

7-2 研究発表における患者プライバシー保護に関する指針について

発表内容は,必ず本学会が制定する指針に遵守することが必要である.特に症例報告においては,十分に配慮することが必要である.

① 患者個人の特定可能な氏名,入院番号,イニシャルまたは「呼び名」は記載しない.
② 患者の住所は記載しない.
③ 日付は相対化して記述する(例えば,入院○日後,有害症状発現日をday 0とするなど).ただし,患者個人が特定できないと判断される場合は年月まで記載してよい.
④ 他の情報と診療科名を照合することにより患者が特定され得る場合,診療科名は記載しない.
⑤ 既に他院などで診断・治療を受けている場合,その施設名ならびに所在地を記載しない.
⑥ 顔写真を提示する際には,目を隠す.眼疾患の場合は,顔全体が分からないよう眼球のみの拡大写真とする.必ず患者に同意を取る.
⑦ 症例を特定できる生検,剖検,画像情報に含まれる番号などは削除する.
⑧ 以上の配慮をしても個人が特定化される可能性のある場合は,発表に関する同意を患者本人(または遺族か代理人,小児では保護者)から得る.
⑨ 遺伝性疾患やヒトゲノム・遺伝子解析を伴う症例報告では「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省,厚生労働省及び経済産業省,平成13年3月29日,平成16年12月28日全部改正,平成17年6月29日一部改正,平成20年12月1日一部改正)による規定を遵守する.

8.発表方法

8-1 一般研究報告(症例検討を除く研究発表)

本学会の理念に基づき,医薬品の安全性の向上に寄与する内容であることが必要である.症例検討以外は,原則として「背景・目的」,「対象・方法」,「結果」,「考察」を軸にスライド(ポスター)を作成する.※症例検討は「8-2 症例検討」を参照

8-1-1 「緒言」について

研究の発端となった背景と研究の目的を明確に述べる.

8-1-2 「対象および方法」について

対象は,実施期間やサンプルについて明確に述べる.特にヒトでの臨床データの場合,年齢や性別,疾患,服用薬剤など出来るだけ詳細な情報を提示することが望ましい.

方法は,試験(実験)方法,分析方法を明確に述べる.試験方法に関しては,資材,手順,内容,分析・評価方法を可能な限り具体的に述べる.

8-1-3 「結果」について

可能な限り得られたデータや情報を数値化し,図表で示すことが望ましい.また,図表で示す内容が複雑な場合は,参加者が理解しやすいように説明(ポスターの場合は文章で記載)することが望ましい.

8-1-4 「考察」について

結果によって導き出された見解を可能な限り,分かりやすく考察する.また,結果と考察を同時に発表しても構わないが,その場合は総括(まとめ)を述べることが望ましい.また,本学会の理念を理解し,今後の医薬品の安全性や適正な薬物治療の指針に寄与する内容となる考察である必要がある.

8-1-5 その他

研究テーマによって,専門用語の解説が必要と思われる場合は別途提示することが望ましい.また,比較参考資料として症例に関連する様々な有用な情報(疫学,機序,頻度など)がある場合も補足的に別途提示し,説明することが望ましい.

8-2 症例検討

症例検討では,一例もしくは数例を解析した研究報告を対象とするが,一般研究報告と同様に学会の理念に基づく内容である必要がある.症例検討Ⅰでは,原則的に「患者プロフィール」,「臨床経過(薬歴・病歴・検査値などを含む)」,「考察」の構成を軸にスライド(ポスター)を作成する.なお,症例報告は特に本学会規定の「7-2 症例報告を含む研究発表における患者プライバシー保護に関する指針」に遵守し,スライド(ポスター)作成時ならびに発表時に配慮する.

8-2-1 「患者プロフィール」について

年齢,性別,既往歴・副作用歴,主訴などの基本事項を簡略的に述べる.特に報告内容に直接関連性がある事項については,明確に述べる.

8-2-2 「臨床経過」について

服用薬剤と症状の変化が経時的に解るように,簡略的に文章で記し説明することが必要である.さらに別に図表で示すことが望ましい.また,関連する臨床検査所見も併せて提示するとよい.その他,医療スタッフ(医師,薬剤師,その他)として症例へ対応や処置等についても述べる.

8-2-3 「考察」について

症例によって導き出された見解を分かりやすく考察する.具体的な考察方法としては,以下に示す項目について検討解析し,根拠を述べて示す.また,本学会の理念を理解し,今後の医薬品の安全性や適正な薬物治療の指針に寄与する内容となる考察が望ましい.

1)症例検討Ⅰ(検討項目)

① 有害症状,② 被疑薬(原因薬),③ 重篤度,④ 因果関係,⑤ 発症機序,⑥ 誘発要因,⑦ 対策

2)症例検討Ⅱ(検討項目)

① 被疑薬(原因薬),② 予想される有害症状,③ 予想される発症機序,④ 予想される誘発要因,⑤ 有効であった対策

なお,有害症状における重篤度については「別表1」を,因果関係については「別表2」を参考にする.

8-2-4 その他

症例によっては,専門用語の解説が必要と思われる場合は別途提示することが望ましい.また,比較参考資料として症例に関連する様々な有用な情報(疫学,機序,頻度など)がある場合も補足的に別途提示し,説明することが望ましい.

9.相反利益(conflict of interest:COI)自己申告について

発表者は,利益相反関係(例:研究費・特許取得を含む企業との財政的関係,当該株式の保有,公的研究費に基づくかどうか等)の有無を開示する必要がある.口頭発表の場合は発表タイトルスライド(1枚目)か次のスライド(2枚目),ポスター発表の場合は最後に明記したものを示す.利益相反関係がある場合には,関係する企業・団体名も明記する.

なお,詳細な記載方法は,大会発表の案内に従う.

以 上

別表1 日本医薬品安全性学会による副作用重篤度(グレード)判定基準
Grade 0 症状・検査値異常の発現がない場合
軽度(Mild) Grade 1 被疑薬剤の中止のみで症状が改善した場合
中等度(Moderate) Grade 2 生命の危険はなく,軽度な治療により症状が改善した場合
重度(Severe) Grade 3 生命の危険があり,濃厚な治療(入院治療)を要した場合
Grade 4 後遺症が生じた場合
致死的(Fatal) Grade 5 死亡に至った場合
別表2 日本医薬品安全性学会による被疑薬剤と有害事象の関連度評価基準

(2016.7.24改正)

判定項目判定項目の有無(+:あり,-:なし)
経時的関連性
デチャレンジ陽性
(服薬中止による症状軽減)
既存症状の悪化の可能性*±
薬理作用の説明の可能性**±±±
薬剤の関連性を示す検査***±
リチャレンジ陽性
(薬剤再投与による影響)
判定011222334
 空白「 」は未検討・未施行,「±」は陽性・陰性を問わない
 0:たぶん関連性なし(Remote)
 1:たぶん可能性があり・関連性があるかもしれない(Possible)
 2:たぶん関連性あり(Probable)
 3:高い関連性が示唆される(Highly probable)
 4:確かな関連性がある(Definite)

* 新たな疾患発症(合併症を含む)の可能性も含む

** 被疑薬剤が単数(限定的),被疑薬剤の過量・不適正使用および薬剤間相互作用等により有害事象の発症に薬理作用が論理的に説明される場合を指す
 具体的には,下記の事例を指す

  • 添付文書・IFに記載+発症機序が解明+被疑薬剤が単数の場合
  • 添付文書・IFに記載+発症機序が解明+過量投与の場合
  • 添付文書・IFに記載+発症機序が解明+基礎疾患に不適切な使用の場合
  • 添付文書・IFに記載+発症機序が解明+その副作用が高頻度発現(5%以上)の場合

*** 治療薬物モニタリング(TDM)やアレルギー起因薬同定試験(種々の皮膚試験,DLST,LMTなど)等により薬剤と有害事象の因果関係を示す検査結果を指す

ページの先頭へ戻る