大会長挨拶

このたび第8回日本医薬品安全性学会を開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。

日本医薬品安全性学会は、医薬品と有害事象の関連性やメカニズムを解明し、 回避対策を探求することにより、医薬品の安全性向上に寄与することを目的として2014年5月に設立されました。比較的新しい学会ではありますが、医薬品の安全性に関する十分な知識及び技能を有する薬剤師に対する医薬品安全性専門薬剤師(DSSP)、医薬品の安全性に関する十分な知識及び技能を有する医療関係者に対する医薬品安全性指導者(DSD)、医薬品の安全性に関する適正な情報を提供できる十分な見識を有する製薬企業における医療関係者を対象とした医薬品安全性情報スペシャリスト(CDSIS)などの各資格制度を設けるなど、確実な足跡を残してきています。

第8回大会は、仙台から「当事者から学び、当事者に届く医薬品の安全性」をテーマに開催させていただくこととなりました。新型コロナウィルス感染症の影響で、外山 聡先生を大会長に新潟で開催を予定しておりました第6回日本医薬品安全性学会学術総会は残念ながら中止となり、今給黎先生を大会長に福岡県で開催される予定でありました第7回大会はWEB開催となりました。第8回大会も、感染症の専門家のご意見を伺い、現地開催を断念することになりました。今回は、特別講演、一部の教育講演、一部のセミナーなどは現地からライブ配信するとともに、ほとんどのプログラムをオンデマンドとし、大会終了後の一定期間、皆様ご覧いただけるようにしたいと考えております。新型コロナウィルス感染症に係わっている皆様のご苦労はいかばかりかと心を痛めるとともに、一日も早い収束を願っております。

さて、適切な医療サービスとは、当事者と医師(専門家)が情報を適正に共有し、当事者の目指すゴールや治療の好み、お互いの責任などを話し合うことによって導き出されるとされております(Shared decision making: SDM)。精神医療に関しましては、治療のゴールは「リカバリー」とされております。ここでいうリカバリーとは、病気から治癒する及び社会復帰するということではなく、精神疾患を持ってもプライドを持って生きることができることを意味しております。そのためには、患者さん自身が主体性をもって治療を行うこと、つまりエンパワーメントが重要となります。われわれ医療者ができることは、リカバリーを支援するために、適切にSDMを行うことであろうかと思います。そのために、医療者はより医薬品の安全性について学ばなければなりませんが、それも当事者に届いて初めて価値のあるものであるということも認識しなければならないと思っております。今回は、そのための企画もご用意しております。

ひとりでも多くの方々のご参加をお待ちしております。よろしくお願いいたします。

2022年3月吉日

第8回日本医薬品安全性学会学術大会
大会長 鈴木 映二

東北医科薬科大学医学部精神科学教室 教授