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第3回日本医薬品安全性学会・学術大会
大会長 平田純生
熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター長
臨床薬理学分野 教授
この度、第3回日本医薬品安全性学会・学術大会を2017(平成29)年7月22日(土)〜7月23日(日)の2日間、ホテルメルパルク熊本(熊本市中央区)で開催することになりました。日本医薬品安全性学会は、医薬品の適正使用の推進によって有効性と安全性を確保することを目的として発足し、第1回学術大会は宇野勝次大会長のもと、福山市で開催され、第2回は伊藤善規大会長のもと岐阜市で開催され、いずれも400人を超す参加者が集まり、活発な討論がなされました。
臨床における医薬品有害反応の発症には、特定の薬物による特定の発現機序を誘発させるための何らかの誘発要因が存在します。その誘発要因は、腎障害や肝障害のような基礎疾患に伴う血中薬物濃度の上昇、遺伝子多型のような遺伝的素因、薬物間相互作用、並びに交差アレルギーなど多数あります。個々の医薬品有害反応事例の誘発要因を見出すことが医薬品の有害作用防止につながると考えます。そこで、医薬品有害作用の原因薬と有害事象の関連性および発現機序の解明に努めると共に、その発症に至る誘発要因を探求して医薬品有害作用を軽減し、医薬品の安全性の向上に寄与することが本学会の理念とされています。
本学術大会のメインテーマは「医薬品の安全性を担保せよ~復興熊本からのメッセージ~」と致しました。本来ならば熊本市民会館で開催する予定でしたが、大ホールの復旧のめどが立たず、一時は理事長と話し合い、中止も考慮しました。しかし熊本地震が起きた後だからこそ、日本全国の多くの方々に熊本に来ていただかなくてはと思い直しました。会場は変わりましたが、都心に近くて便利、会場の大きさも使い勝手もよいホテルメルパルク熊本に決定し、よりアクティブな大会ができると思っています。第3回大会のポスターには熊本市のシンボルである熊本城の雄姿を載せています。しかし実際の熊本城は大きな被害により現在は無残な姿です。おそらく2017年の大会時にもその傷跡はなくなっていないでしょうが、「必ず復興する」という願いも込めてこのテーマにさせていただきました。
理事長講演、教育講演、大会長講演、シンポジウム、パネルディスカッションでは、医薬品の安全性に関する最新情報・臨床研究・基礎研究について最先端を担っている先生方の講演を数多く企画しております。今までの学会に参加された方はお分かりのことと思いますが、「医薬品の安全性」は決して軽い問題ではありません。どのセッションも重要な内容を含んでおり、議論も活発で聴きごたえがあり、きっと「行ってよかった学会」になると思います。医療現場での、さまざまな声、試み、研究がこの会を実りある豊かな学術大会にすると信じます。医薬品の副作用対策のみならず、より広い意味での医薬品の適正使用の推進に役立てられることを期待し、どうか、多くの演題をお寄せいただきたいと思っています。
熊本は、歴史と雄大な自然に囲まれた素敵な土地です。熊本城は復興中ですが、二の丸公園に入り、本丸および西南戦争でも消失しなかった宇土櫓の外観を拝むことが可能です。市電に乗って水前寺公園に行けば、参道で女性に大人気の熊本名物「いきなり団子」が味わえますし、水前寺公園の茶室で抹茶と熊本銘菓を味わいながら公園の景色と共に素敵な時間を堪能できます。下通り、上通りなどに代表されるショッピング、食事、ライブハウス、バーなどには大会会場から歩いてすぐの便利さです。さらにもう1泊すれば、黒川温泉、雄大な阿蘇も満喫できます。学術大会に合わせて、熊本をじっくりご堪能いただければ、幸いです。
末筆ではありますが、皆様のご支援と多数の参加を心よりお待ちしております。
平成28年8月吉日