第9回日本医薬品安全性学会学術大会 読み込まれました

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The 9th Annual Meeting of Japan Society of Drug Safety

日本医薬品安全性学会学術大会

The 9th Annual Meeting of Japan Society of Drug Safety

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患者さんを巻き込んだ医薬品の適正使用の推進を

患者さんを巻き込んだ医薬品の適正使用の推進を

 医薬品の適正使用には、患者又はその家族が処方された医薬品について必要な情報を得て、それを理解し、自らが薬物治療に関わることが重要です。薬機法第1条の6にも「国民の役割」として、「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。」とされています。

 2015年に厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」が公表され、薬剤師業務についての大きな方向性が示されてから8年になります。薬局ビジョンの公表の後、薬剤師業務の「物から人へ」の変革が進められてきており、特に最近はその動きが強く早くなっています。2019年の薬機法、薬剤師法の改正においては、調剤後の患者の継続的なフォローアップが義務化され、調剤時のみならず、継続した使用状況の把握がこれまで以上に求められるようになりました。また、2022年度診療報酬改定ではリフィル処方箋が導入され、薬剤師による患者フォローアップの重要性がますます高まっています。さらに、2023年には電子処方箋の利用が始まり、今後広がっていくことが期待されており、ますます薬剤師による薬学的管理、患者フォローアップが求められることになります。

 医薬品には、発現した場合に重篤な転帰をたどる副作用が稀に発現するケースがあります。このような副作用に対しては、たとえ発現が避けられなかったとしても、重篤化させないために早期に副作用を疑って適切な対応を行うことが重要です。副作用の早期発見には患者の協力が必要であり、副作用の早期の自覚症状を患者にいち早く気づいてもらい、それを把握して、適切な受診勧奨や主治医への情報提供に結び付けていくことが求められます。早期の自覚症状を如何に見逃さずに捉えるかが、患者フォローアップの重要な視点になっています。

 患者さんを巻き込んだ医薬品の適正使用を進めていくためには、信頼できる医薬品情報を届けることで患者さんのヘルスリテラシーの向上を図るとともに、患者さんと医療者のコミュニケーションを通じて、一人ひとりの患者へ個別最適化した情報を届けることが求められます。協議会が取り組んでいる患者さんに信頼できる医薬品情報を届ける活動などを紹介させていただきながら、薬剤師による患者さんとのコミュニケーションの重要性について考えていきたいと思います。

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