第9回日本医薬品安全性学会学術大会 読み込まれました

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The 9th Annual Meeting of Japan Society of Drug Safety

日本医薬品安全性学会学術大会

The 9th Annual Meeting of Japan Society of Drug Safety

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薬剤起因性消化性潰瘍。注意すべき薬剤とその予防について 〜消化器内科医・内視鏡医の立場から〜

薬剤起因性消化性潰瘍。注意すべき薬剤とその予防について 〜消化器内科医・内視鏡医の立場から〜

 長年わが国において消化性潰瘍の原因となってきた Helicobacter.pyloriは、衛生環境の改善や除菌治療の浸透によりその感染割合は極端に低下した。一方で、薬剤起因性消化性潰瘍の割合は増加傾向である。その最たる原因薬剤に低用量アスピリン(Low-dose aspirin: LDA)と非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti- inflammatory drugs: NSAIDs)が挙げられる。わが国は平均寿命の延伸と少子化に伴い一層の高齢化社会を迎えつつある。これに伴い心疾患・脳血管疾患・整形外科疾患を抱える人口の増加と、これら疾患に頻用される LDA や NSAIDs の処方数も必然的に増加していくことが予想される。

 薬剤起因性消化性潰瘍の存在とその予防の必要性と方法については広く認識がされてきている。しかしながら実際の臨床現場では、依然として薬剤起因性と推察される出血性消化性潰瘍を目の当たりにするのも事実である。基礎疾患が多く複数の診療科から治療を受けている場合には LDA や NSAIDs の単剤使用のみならずその両者の併用、あるいは、その他の抗血栓関連薬など多種にわたり内服をする高齢者が増加している。このことは消化性潰瘍出血の観点からは非常にハイリスクとなるため、適切な予防マネジメントが必要となる。

 今回はLDAとNSAIDsに起因した消化性潰瘍を中心に、その機序や現状、消化性潰瘍ガイドラインに沿った予防方法について解説をする。さらには、消化器内科医・消化管内視鏡医としての立場から消化性潰瘍マネジメントにまつわるジレンマについても述べていきたい。

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