大会長挨拶

第5回日本医薬品安全性学会学術大会の開催に際して

第5回日本医薬品安全性学会学術大会
大会長 小茂田 昌代

東京理科大学薬学部 教授

謹啓 時下ますますご清祥でご活躍のこととお喜び申し上げます。

さて、医薬品の適正使用の推進、すなわち有効性を最大限に活かし、副作用を最小限にすること及び医療安全の確保を目的として、「日本医薬品安全性学会」が2014年に発足し、2015年7月に、福山市にて第1回学術大会が開催されました。
そして、2019年7月27日(土)、28日(日)には第5回学術大会が「薬のリスク比較を極めよ!〜基礎を臨床につなぎ患者を守る〜」をテーマに東京理科大学葛飾キャンパス(東京都葛飾区)にて開催する運びとなりました。

医薬品は、開発者が今までの薬と少しでも有効性が高く副作用の少ない構造式を狙って、しのぎを削り産まれてきました。しかし、その構造式の狙いは、臨床の場にいる薬剤師には伝わらず、現場の薬剤師は臨床試験の結果のみに注目してきました。実は、その医薬品の開発の経緯をたどっていくと、副作用の違いは開発時の構造式の違いですでに予測されていたということに気づかされ、薬剤師の専門性とは何だろうと考えさせられました。もちろん、臨床試験で狙い通りの結果が出るとは限らない訳ですが、薬剤師は医師や看護師とは違い、薬学部では多くの薬の構造式、薬理作用、薬物動態などの特性を学んでいます。その知識は患者に活かされてこそ価値が生まれます。創薬研究者も治験に携わる人材や審査をする行政担当者も、そして薬剤師も実は多くが同じ薬学部で学んだ同志であるという原点に立ち返り、創薬から市販後までの医薬品に関わる情報が患者を守るという視点で更につながるきっかけになければと思い、第5回学術大会のテーマは、「薬のリスク比較を極めよ!〜基礎を臨床につなぎ患者を守る〜」とさせていただきました。薬学部教員、製薬企業、医薬品開発支援企業、行政、医療機関の薬剤師など薬に関わるすべての方にご参加いただき、副作用の最小化を目指して大いに議論していただけることを期待いたします。

本学術大会の趣意を是非ご理解いただき、多くの皆様にご参加いただきますようお願い申し上げます。

敬具