大会長挨拶

第4回日本医薬品安全性学会学術大会の開催に際して

第4回日本医薬品安全性学会学術大会
大会長 髙栁 和伸

公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構
倉敷中央病院 薬剤本部長

日本医薬品安全性学会は「医薬品の安全性の向上に寄与する」ことを目指して2014年5月に設立した歴史の浅い学会です。医薬品有害作用のメカニズムや誘発要因の解明、回避対策の探求をミッションに掲げています。2017年7月22日、23日に開催された第3回学術大会では、平田純生大会長のもと「医薬品の安全性を担保せよ〜復興熊本からのメッセージ〜」をメインテーマに600名を超える方々にご参加いただき、活発な議論が展開されました。

この度、第4回学術大会を倉敷市芸文館で開催させていただくこととなりました。大会テーマは、平成30年4月1日から改正GPSP省令が施行され、MID-NET などのビッグデータの本格的な利活用が開始されるのに合わせて、「Drug Safety の新時代を開く―症例報告からビッグデータまで―」と致しました。臨床現場における症例検討や調査研究を基に医薬品有害作用リスクを早期に検出し、ビッグデータを活用した疫学研究等によってそのリスクを検証し、個々の医薬品のリスクに応じた安全対策の立案につなげる、この一連のサイクル実現の一助とすることを目標に掲げています。

本学術大会では、京都大学の中山健夫教授に「ビッグデータから見る医薬品安全性:現状と展望」をテーマに講演していただきます。また、ファルメディコの狭間研至先生には「医薬品安全における薬剤師の役割〜チーム医療における立ち位置を変える〜」の教育講演を依頼しました。それ以外にも数多くの講演やシンポジウム、ワークショップを企画しています。参加者の認定修得のため、がん・緩和薬物療法、感染制御、老年薬学などの単位が取得できるプログラムも用意しました。

本学会はこれまで医薬品安全性指導者・専門薬剤師の認定を行ってきましたが、これに加えて今年から製薬企業における医薬品安全性情報スペシャリストの認定を予定しています。そのために企業と医療者の情報共有・利活用のあるべき姿を考えるシンポジウムも企画しています。

これらの企画を通して、医薬品に関わるあらゆる職種や診療領域を対象として、わが国の医薬品の安全性の向上に寄与する次世代リーダーを育成する一助となることを期待しています。多数の方々にご参加いただきますようお願い申し上げます。